狙われる無人寺。インターネットで換金。大半が見つからず。
2020年2月6日 京都新聞に掲載されていた「無人寺の仏像盗難」についてご紹介します。
愛知県で4ヶ所の無人寺から仏像を盗んだとして窃盗や建造物侵入の罪に問われた古物商」の男(42)に、名古屋地裁豊橋支部は先月、懲役1年8月判決を言い渡した。各地で同様の被害があり、公判では被害品の回収が容易でないことも明らかになった。地域の文化財をいかに守るかが課題になっている。
大半が不明、オークション出品も。
● 2019年8月。地元住民が盆行事のため保管場所を確認すると菩薩像がなくなっていた。「像は大切な地域の宝だった。罰当たりだ」と憤りを隠さない。
● 公判で男。「金に困っていた。無人寺を狙い約5年前から盗みを繰り返していた」仏像計6体(180万円相当)を盗んだ。
● 和歌山県では08年から19年4月まで、分かっているだけで286点の仏像が盗まれた。大半が無人寺で、ほとんどが行方が分からないまま。
● 豊橋市の菩薩像は古美術商に持ち込まれオークションで14万円で落札。50万円かけ手足の欠損部分を修繕。売却予定であったが盗品と気がつき寺に戻された。費用はオークション主催の古美術商が負担。
● 別の寺では仏像2体が被害に遭い、1体は盗品と知らない男性が購入し、オークションに出品。住職が気が付き約25万円で落札し取り戻した。
仏像盗難は10年以上前から全国各地で発生しています。
・無人寺の場合、昼間も夜間も人がおらず、人目に付かずに犯行を行うことができる。
・重要文化財などと違い、写真や記録などがないことが多く、後追いをすることが難しいことが多い。
・地域住民や兼務の住職が盆などの行事に気が付くことが多く、被害発生から時間が経過しており後追いがしにくい。
・インターネットオークション等、顔を出さずに換金することができる。マニアや海外からのニーズは高い。
・まだまだ「まさか仏像が盗まれるなんて」と感じている地域住民が多い。
・昼間に拝観を装って下見をする犯人が多い。誰も怪しまない。
ということで、犯罪を起こしやすい環境、発見しにくい環境である、と言えます。
無人寺の仏像盗難対策
無人寺の場合、そこには管理する人がいませんので、住職や檀家・地域住民への異常発生時の自動通報、遠隔監視が基本となります。
● 仏像や仏具に「傾斜検知センサー」を設置し、仏像を持ち出そうとすると異常を検知し、その場で大音量の音で犯罪者を威嚇撃退すると同時に、あらかじめ設定している住職や檀家、近所の方の携帯電話や自宅へ自動通報する。
● 防犯カメラを設置し、携帯電話などで異常発生時に状況を動画と音声で確認し、早期対応する。映像は自動録画する。録画映像も携帯電話等から遠隔にて確認できるようにする。
といった防犯対策をお勧めします。
又、LED人感ライトなどを設置し、夜間人が来た時には明るくする、仏像の写真等を撮り記録を残す。
といったことも並行して行うことをお勧めします。住民による不定期のパトロールや知らない人と出会った時の大きな声での顔を見ての挨拶など「常に人の目がある」「地域のコミュニケーションがきとんとしている」ということが犯罪者を近づけないポイントでもあります。