令和になって減少した犯罪

それがスリです。その背景について記載していきたいと思います。
スリが激減した理由

法務省が作成している『犯罪白書』令和元年版は、「スリの減少」について以下のような記述がある(原文の元号は西暦表記とした)。「すりの認知件数は,1989年から2003年にかけて2万件を超える状況が続いていたが,2004年からは減少傾向を示し,2018年(3,281件)は,平成期で最も多かった1993年(3万217件)の9分の1以下となった」
令和元年版によると2003年は2万5338件が認知されたが、翌04年になると1万9198件と一気に減少したことが分かる。
なぜスリはこれほど減ったのか。
ネットでは「日本人のスリや窃盗犯とかは高齢化」「スリや空き巣は後継者不足って感じ」「財布持ち歩かないのでスリが減った」など、さまざまな臆測が飛び交っているが、専門家はどう見ているのか。元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、神奈川県警の現役時は主に捜査3課に所属していた。まさに窃盗犯を追う部署だ。
「スリの認知件数がこれほど減ったのは、『日本人が持ち歩く現金が少なくなっていった』という経緯が大きく影響しています。まずクレジットカードの普及があり、次が交通系ICカード、そしてスマートフォンによるキャッシュレス決済が決定的でした。基本的に、スリはカード類を現金化するノウハウを持っていない。彼らが苦労して財布をかすめ取っても、中に現金はあまり入っていない。それどころか今や全ての支払いをスマホで済ませ、財布すら持っていない人もいるわけです。変な言い方になりますが、スリにとって死活問題でしょう」
キャッシュレスで現金を持たない

また、スリが減少した別の理由として、小川氏は「窃盗犯の高齢化と、新型コロナの感染拡大も大きい」と語る。「空き巣、車上狙い、自動販売機狙い、自動車盗という犯罪も、スリと同じように大幅に減少しています。こうした窃盗で生計を立てていた犯人が高齢化し、引退したことが原因です。またスリの場合は通行人の“キャッシュレス化”によって魅力的な犯罪ではなくなり、“後継者”が育つことがありませんでした。そして新型コロナで人通りが激減したことが、高齢化の進んでいたスリ犯に引導を渡す形になったのです」ただし、今後はまたスリの被害が増える可能性もゼロではない。小川氏が指摘するのは、外国人すりグループが再来日するというシナリオだ。「外国人すりグループは組織化しており、社長格のリーダーがトップに立ち、見張り役、足止め役、周囲の視線を遮る『壁』役など、メンバーの役割が細かく定められているのが特徴です。2000年代に日本で猛威を振るいました。ターゲットをグループが取り囲む形で犯行に及びます。代表的な手口としてスーツのジャケットにある内ポケットの底面部を切り裂き、下から長財布をスリ取るというものがあります。コロナ禍が終息し、日本では人通りが戻ってきました。もしスリの発生件数が増加に転じたとしたら、外国人すりグループの来日が疑われるでしょう」キャッシュレス、高齢化、コロナ禍……スリの減少は日本の世相を大きく反映した結果だったのだ。
令和になって「スリ」が激減した意外な理由2023.9.16 11:00(AERAdot.)
スリの対策はできるのか?

財布だと難しいですが、カバンなどであれば対策できるものがあります。スリというよりも「ひったくり対策」にあたるかもしれません。
写真の製品がAL-005という無線式警報ブザーです。左側の大きい方が親機で小さい方が子機です。
親機をカバンなどにつけ、子機をベルトなどにつけておきます。子機と親機が6~20m以上離れると大音量で警報音が鳴るという仕組みです。
貴重品を持たなければいけない時などにお使いいただければ、万が一に備えることが可能です。