「地面師」という文字がニュースから飛び込んできました。
映画やドラマのような大掛かりな公文書偽造による詐欺事件です。
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積水ハウス(大阪市)が東京都品川区の土地購入代金をだまし取られた事件で、偽造した書類で土地の移転登記をしようとしたとして、警視庁捜査2課は16日、電磁的公正証書原本不実記録未遂と偽造有印私文書行使の容疑で、地主に成り済ました「地面師」グループら十数人のうち、A容疑者(63)と不動産会社の実質経営者B容疑者(46)ら男女数人を逮捕した。残るメンバーについても逮捕する方針。
リーダー格とみられる男が国外に逃亡しており、警視庁は逮捕状を取って行方を追うとともに、事件の全容解明を急ぐ。
捜査関係者によると、地面師グループは昨年6月ごろ、品川区西五反田にある約2000平方メートルの土地について、東京法務局品川出張所で偽造した書類を提出して地主の女性に成り済まし、土地の移転登記をしようとした疑いが持たれている。
積水ハウスなどによると、同社は昨年3月ごろに土地の売却情報を得て、同4月24日に地主を名乗る女と不動産会社を介して土地を買い受ける契約を結んだ。6月1日までに手付金と残金の計約63億円を支払い、品川出張所に移転登記を申請したが、書類が偽造と発覚して同9日に却下された。
最終的に約55億5000万円が回収不能となり、積水ハウスは8月に被害を公表。詐欺容疑で警視庁に刑事告訴していた。(時事通信2018/10/16より引用)
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「地面師」という言葉も初めて知りましたが、63億円といった高額被害額であること、積水ハウスという大手企業が被害者であること等から一斉にニュースに掲載されています。
この背景には大手不動産会社が2020年の東京オリンピックに向けて東京都内のマンション建設用地を買いあさっているということがあります、又、これは全国的に傾向ですが、「土地所有者の高齢化」があります。周辺も含め相続が進むと、土地の所有者と近所の方も面識がないという状態になってきています。
こうした状況の中で、今回問題になった五反田の元旅館の土地をめぐって事件が発生しました。
ホームページを見ていて、これだけ大きな取引の中で「文書偽造」がポイントになっていることです。 今回は積水ハウス側の司法書士も偽造された文章に気がつかなかったということですから、一般の方は今まで以上に細かな点まで確認する必要が出てくると考えます。
「印鑑証明書」も偽造がありうると考えよく確認することが大切です。(法務局の「印鑑証明書用専用紙の主な偽造防止措置 より抜粋)
➡①透かしインキ:光にかざして見ると桐の模様が透かしのように、白く済めて見える。
②コピー牽制(左右):コピー横で』複写すると隠れていた「COPY]という文字が現れる
③連続番号(天地2方向):用紙ごとに一意の番号が連続で印刷されています。
土地所有権移転の仮登記では権利書は必要ないが、本登記には権利書が必要となります。
しかしながら実際には「権利書がない土地」というのも多く存在します。そういう場合には「本人確認情報」により手続きを進めます。
今回の積水ハウスの場合には、偽造のパスポートを提示され、それを担当司法書士は本物と信じたということです。公証役場で公証人による本人確認情報が作成されていたようです。公証役場の中には身分証明書と印鑑証明書だけで本人確認情報を作成する場合もあるとのことですが、今回を機にもっと時間をかけて綿密な調査をすることが今後必要になると思われます。
もっとも確実なのは、登記簿上の住所の自宅で実際に相手に会うことです。
その時に表札や別に写真のある運転免許書、健康保険証など複数の書類などを確認することでより偽造などが発生しにくい状況となります。
今回逮捕されたのは、グループの下っ端の実行犯。主犯格は皆逃亡中ということで、不動産売買に関して気を抜くことはできません。