相模原障害者施設での痛ましい事件から1年が経過した。
この1年の間に、障害者施設・高齢者施設に対しての「安全対策強化に係る整備」として、110番通報や監視カメラ、センサー・外溝(フェンス関係)など設備を導入するのに、国、市町村が負担することで、約25%の負担で導入できるということで多くの施設が導入をされている。
今回の事件でこうした安全対策に対して施設が真剣に考え、対応をされることは素晴らしいことであるし、大きな1歩だと思う。
しかしながら、懸念はある。以前 池田小学校の事件があった後、多くの小学校や中学校、幼稚園などでも外周警備用の赤外線センサーや防犯カメラ、門扉の電気錠などの導入が進んだ。
又、時計型などの緊急押しボタンを使用した緊急通報システムも多数納入された。
しかしながら、事件後の年月で「防犯意識」は当時の時より低くなっているのではないかと懸念する。
又、今回の障害者施設や高齢者施設に関しても予算面で防犯カメラを設置するだけで終わっているところも多いと思われる。防犯カメラを設置するだけで防犯対策は万全と安心しきってしまってはマイナスである。
相模原の施設でも不安を感じて事件前に防犯カメラ16台を設置していたが、それは録画映像を事件後に確認して検証する、といったことに使われていた。犯人が何時にどこに車を置いてどういう経路で侵入したかを録画映像で見ても、多くのなくしてしまった命は助からない。
この事件の場合、犯行が外部に連絡されるのは40分とずいぶん時間が経過してからとなったのである。
こうした「悪意(殺意)を持った犯罪者」に対しては、犯罪者がその敷地の中に侵入させないようにすることがまず重要であり、侵入しようとした瞬間に知ることが大切である。
侵入させないためには、物理的防御でフェンスなどが重要となるがそれだけでなく、フェンスを乗り越えようとした瞬間に大音量の音と光で施設側が知ることが重要である。ほとんどの犯罪者は大音量の音と光に関して抑止効果があり、退散するが、この犯人の場合は退散しない可能性も高かったかもしれないが、何か異常が起きようとしているのを音で施設側が知ることで、防犯カメラの映像で確認するなどの行動が採れたはずである。
また、窓扉開閉検知センサーなどで、窓をこじ開けられたのを検知すればそれでも侵入を企てようとしているのを施設側は知ることができる。二重の警戒が行うことができ、「建物の中に犯罪者を入れる前に検知する」ことができるのである。
そして「緊急通報システム」。それでも侵入された時に外部に異常発生を知らせるシステムが「それでも犯罪を継続された場合」「何か異常が発生した場合」に外部に自動通報する。無線式のペンダント型・時計型の送信機を携帯し、異常発生時に敷地の中のどこにいても押すだけで外部に異常発生を知らせることができるのである。
こうした各種システムと防犯カメラを連動させることで、防犯カメラの効果が何倍にも増す。
別の言い方をすれば、防犯カメラで録画するだけでは悪意を持った犯罪者に対しては十分ではないのである。そこのところをきちんとわかっておくことが大切である。
防犯カメラを設置しただけで安心と考え、防犯意識が低くなることは絶対に避ける必要がある。