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防犯カメラ設置の時に配慮すべきプライバシーの問題①
現在社会において防犯カメラを目にすることが普通になりました。
セキュリティハウス展開を開始した昭和59年頃、まだ防犯カメラを目にすることはほとんどありませんでした。
また、設置先も公共施設や銀行といった「ハイリスク」な場所に限られていました。
銀行では「フイルムカメラ」が出入り口の映像を撮り続けていて、何か問題が発生した時にはそれを現像して確認していました。
そして、防犯カメラの画像そのものも現在のものと比べると非常に不鮮明なものでした。
ところが、現在多くの場所で使用されている防犯カメラは、非常に鮮明であり夜間もくっきりと映し出しています。
録画映像を再生しても非常に接明であり、多くの事故や事件発生時に原因究明や犯人逮捕に役立っています。
防犯カメラの設置先も、銀行や公共施設から、店舗、一般企業はもとより商店街、駐車場、公園、マンション、寺、学校、保育園と拡大しています。
最近は一般家庭でも防犯カメラを設置されることも増えてきており、インターネット通販でも多くのカメラが販売されています。
それに伴い、防犯カメラとプライバシーの問題が発生してきています」。
この問題は、防犯カメラが日本に登場した頃から色々な意見が弁護士から出されていました。
この見解は、時期、設置目的や設置場所、弁護士の立場により様々なものがありますが、共通して言えるのは、「プライバシーへの配慮」は絶対に必要でということです。
どのような配慮が必要であるかを今回は検討していきたいと思います。
防犯カメラの設置を考えるときに、重視することは、「設置の目的」と「プライバシーへの配慮」です。
設置者は、防犯カメラの設置目的(犯罪の防止等)を明確に定め、目的を逸脱した利用を行わないようにします。
他の人間が一切映り込む可能性がない場所であれば問題ないでしょうが、店舗、工場、マンション、商店街、公園など多くの防犯カメラ設置先では、不特定多数の人間が映る可能性がありますので、防犯目的であったとしてもプライバシーへの配慮を忘れることはできません。
技術革新が大きく進み、画像で特t例人物を識別できるようになってきました。
防犯カメラで撮影・録画した映像が特定の個人を識別できるものであれば、個人情報保護法で規定される「個人情報」に該当します。
「個人情報」は、法律に準じた適正な取扱いや管理をする必要があり、それを怠ると、プライバシー侵害になるおそれがあります。
プライバシーとは、
一般的に「個人が私生活において他者からの干渉や侵害を受けない自由」や「他人に知られたくない自分の情報」という意味で使われています。
- 個人を特定できる人物写真
- 個人の住居地を特定できる写真や近辺の情報
- 個人の学歴、職歴
- 個人の犯罪歴や破産歴
- 個人の日記や私生活の情報
個人の立ち寄った店やよく利用する駅といった行動記録、自宅やカフェでリラックスしてる様子といった私生活をむやみに公開されないように法律で保護されています。
自分の個人的なデータや映像を、他人が理由なく持つことを禁止して、所持している相手には削除や訂正を求めることができます。
「個人情報」と「プライバシー」という言葉はあまり区別することなく使われています。この2つの言葉は深く関係していますが、厳密に言えば、意味が異なります。
個人情報は、文字どおり「個人に関する情報」ひいては「個人を『特定できる』情報」という意味で使われています。通常、個人情報は他人に知られたくないものなのでプライバシー情報の一種といえますが、ネットで商品を購入する際など日常生活でしばしば求められるものでもあります。その際は、情報を提供した相手に自身の情報を適切な目的でのみ使用してもらうことを信頼して開示します。
微妙なところですが、そこがプライバシーと個人情報の違いといえます。
本人の氏名、生年月日、住所などの記述等により特定の個人を識別できる情報のことです。
一方、「プライバシー」には「個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利。」(小学館「大辞泉」より)という意味があるほか、最近では、「自己の情報をコントロールできる権利」という意味も含めて用いられることがあります。
「個人情報保護法上の「個人情報」とは、生きている個人に関する情報で、特定の個人であると分かるもの及び他の情報と紐づけることにより容易に特定の個人であると分かるものをいい(法第2条第1項)、個人情報保護法によって保護の対象となります。
個人情報保護法上、プライバシーの保護や取扱いに関する規定はありませんが、個人情報保護法は、「個人情報」の適正な取扱いにより、プライバシーを含む個人の権利利益の保護を図るものです。
一方、プライバシーは「個人情報」の取扱いとの関連に留まらず、幅広い内容を含むと考えられます。そのようなプライバシーの侵害が発生した場合には、民法上の不法行為等として侵害に対する救済が図られることとなります。 」
肖像権
自分の容姿や写真、動画に映る自分の肖像に関する権利が肖像権です。
無断で写真を撮られたり写真を公開されたりしないように個人の肖像は法律で保護されています。
また、モデルやアイドルであれば、資産価値としても肖像権の意味をもちます。
防犯カメラでの撮影がただちに肖像権の侵害になるケースは少ないのですが、撮影した映像をインターネットや店頭に公開すると肖像権の侵害にあたる可能性があります。
プライバシー権
自分の生活やプライベートを他人の目にさらされない権利がプライバシー権です。
人が私生活を穏やかに過ごせるように個人のプライバシーは法律で保護されています。
防犯カメラで人の私生活まで撮影するのはプライバシー権の侵害になる可能性があります。
例えば、自宅の防犯カメラに隣の家の庭が映り込んでいるだけでもプライバシーの侵害になる可能性があります。
画面端であっても他人のプライバシーに関わる範囲を防犯カメラで撮影することは許されません。
防犯カメラによるプライバシー侵害のトラブルを避けるために行うべきこと。
防犯カメラによるプライバシー侵害のトラブルを避けるためにガイドライン等を遵守する
個人情報保護委員会による「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」や、市町村ごとの防犯カメラ設置基準等を確認し、その内容を遵守する。
個人情報保護法における防犯カメラ設置に関わる個人情報取り扱いについて
個人情報保護委員会は「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/2205_APPI_QA.pdf)Q1-12 において、防犯カメラの設置に関わる個人情報の取扱いについて、次のように示しています。
- 個人情報の利用目的をできる限り特定し、当該利用目的の範囲内でカメラ画像や顔認証データを利用しなければならない
- 個人情報の利用目的をあらかじめ公表するか、又は個人情報取得後速やかに本人に通知若しくは公表しなければならない
- 取得したカメラ画像を防犯目的のみに利用する場合には、「取得の状況からみて利用目的が明らか」(法第21条第4項第4号)であるため、利用目的の公表・通知は不要
つまり、防犯目的のみでコンビニ内に設置する等、利用目的が明らかな場合は利用目的の公表は不要ですが、防犯以外の目的でカメラ画像等を利用する場合には、利用目的の特定・公表が必要です。
例えば、
- 顔認識システムと組み合わせて施設の入退室管理を行う
- 各部屋にカメラを設置し状況を確認する
- 河川や堤防など遠隔地の状況確認のために設置する
- 防犯カメラの設置及び運用は、設置目的の達成に必要最低限度の範囲とすること。
- 防犯カメラは、道路等の公共の場所を記録するものとし、特定の個人又は建物を記録するものでないこと。防犯上やむを得ず私有地の映像を記録する場合は、あらかじめ当該私有地の所有者、管理者、使用者又は占有者の承諾を受けること。
- 防犯カメラで記録された映像、音声等(以下「映像等」という。)の取扱いに当たっては、プライバシー保護に関し適切な措置を講ずること。
- 防犯カメラの設置、管理、運用及び映像等から知り得た秘密をみだりに漏らさないこと。
- 防犯カメラの設置及び運用について、あらかじめ地域住民に対し説明会等を行い、合意を得ること。
- この基本方針に基づき防犯カメラの設置、運用、映像等の管理及び利用に関する基準を定め、これを遵守すること。当該基準は、他者からの求めに応じて常時開示できる状態で保管すること。
そして、設置方法及び場所、映像等の管理・利用についても、
- 防犯カメラの設置場所は、全ての人が認識できるよう標識等を用いて明瞭に表示するものとする。
- 映像等の保存期間は7日程度とし、保存に当たって映像等を編集し、又は加工してはならない。
- 映像等の外部への提供及び開示は、法令等に基づくとき又は捜査機関の捜査等に必要なときに限り行うことができるものとする。
と、示されています。
参考/
カメmillihttps://bouhancamera-choice.com/bouhan-camera-privacy
虎ノ門桜法律事務所https://izawa-law.com/blog/lawyer/3197.html
弁護士法人 モノリス法律事務所https://monolith-law.jp/reputation/infringement-of-privacy-by-security-camera
目的が防犯の場合は店頭やWebでの表示が義務ではない場合があるが、基本的には「防犯カメラ作動中」「カメラ画像利用目的シール」などの掲示を行う。
撮影した録画映像が、インターネットや第三者に流失しないように十分に注意する。カメラ・レコーダーやデータベースなどのログインID・パスワードを初期設定のものから、セキュリティ性の高い複雑なものに変更して運用する。レコーダー持ち去り防止のために設置場所に自主機械警備システム・入退出管理システムを設置する。
外部への流失だけでなく、内部への流失にも注意を怠らない。従業員などの不正利用を防ぐためには、プライバシーポリシーを定めて、リテラシー向上のための研修の実施などの啓蒙活動を積極的に行う。
録画映像の閲覧目的・方法を制限し、防犯以外の目的で利用させない。
「防犯カメラ映像管理規約」にて規制。閲覧可能な状況・条件・複数での管理(必ず役員同席)等を明記し防犯目的以外の閲覧を禁止する。