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新聞等での氏名の扱い。 「大谷」「村上」野球選手はなんで呼び捨なん?
いいことであれ、悪いことであれ、ニュースで氏名が表示されることがありますよね。
WBCで日本中が盛り上がっている今、ヒーローである「大谷」「吉田」「村上」「ダルビッシュ」は呼び捨てなのに、「プーチン氏に逮捕状」ってどうして?
氏名の後ろに「氏」とか「さん」とか、「容疑者」「被告」「何もなしの呼び捨て」と色々あることに皆さん違和感を持ちませんか?
まあ、確かに「村上さんがホームランを打ちました」ではなかなかその躍動感は伝わらないですが・・・。(頑張れニッポン!!)
スピードを競う実況などでいちいち「選手」などを付けていると耳障りであるし、しっくりしないというのが理由なのでしょうか?
尺が短いのというのもありそうですね。皆選手になるとかえって聞き取りにくい、わかりにくい解説になるのも理由かな?と思います。
実際に試合の中で、全ての名前に「選手」を付けたら、とんでもない解説になりそうです。
先日も下記のニュースが気になりました。
●ガーシー氏に「除名」宣告 参院本会議で懲罰可決 産経新聞3月15日
●ガーシー容疑者に逮捕状、国際手配へ 「除名」で議員から一転…警視庁“待ってました” yahooニュース3月17日
●プーチン氏の拘束「三つの可能性」 ICC逮捕状、日本にできること 朝日新聞3月18日
●指示役とみられる○○○○容疑者と○○○○容疑者らは2月上旬、フィリピンから日本に強制送還され、警察による捜査が続いている。yahooニュース2月22日
●袴田さん再審、検察が特別抗告断念へ 再審開始確定、無罪の公算大 朝日新聞3月20日
●WBC日本 準決勝 メキシコ戦 佐々木朗希 先発へ
同じガーシー元国会議員関連のニュースでも 3月15日から2日後、17日には「氏」から「容疑者」に変わって表現されていました。
少しインターネットで調べた結果、琉球新報に下記のような記載がありました。
<メディア時評・事件報道での呼称>新聞ルール、浸透不十分 大胆な転換の契機に 琉球新報 2019年6月8日
メディア時評
日々の事件を伝える上で外せないのが「誰が」という人の情報である。事件の加害者にしろ被害者であっても、あるいは政治・経済・国際・文化など、どんなニュースでも、氏名や所属、あるいは顔写真は、一般に新聞報道の必須アイテムとされてきた。一方でこの紙面扱いは、案外ややこしいルールで運用されており、読者にとっては疑問に思う場合も少なくないようだ。
例えば最近の東京都内で起きた自動車暴走死傷事故でも、その運転者の氏名扱いを巡って、ちょっとした騒動となった。ではいったい、新聞紙面で「人」はどう扱われているのか、それはなぜなのか、新聞社の理屈は読者に伝わっているのか、改めて考えてみたい。
多様な氏名扱い
新聞は慣例的に、ニュース領域によって氏名扱いを変えてきている(歴史的経緯は飛ばし、ここでは今日現在の一般的な紙面扱いを紹介する)。例えば、スポーツ・芸能ニュースでの主人公は「呼び捨て」が通例だ。ほかに呼び捨てが一般的なのは、人事のほか、歴史上人物が挙げられる。
ただし後者も、死亡後、何日から呼び捨てにするかは、その人の知名度や社会状況次第という恣意的な判断が入っているようだ。
それ以外の一般ニュースは通常、「肩書」と「敬称」の呼称が使用される。前者は、「社長、議長、首相、議員」などを指すが、「会社員、教師」といった職業呼称もよく使われるものの一つだろう。また、「無職」や「主婦」「学生」も、職業呼称の変化形といえる。この肩書呼称で問題になるのは「元」職肩書であろう。先に挙げた自動車事故の場合は、30年前の公職を付したことに違和感を持つ人もいたようだ。確かに、そこまでさかのぼるならば、一貫して「無職」は少ないだろうし、主婦も元職がある場合が多かろう。
後者の敬称の一般例は、「さん」「ちゃん」「氏」で、新聞ではよく見かける呼称だ。ただし、肩書と敬称の使い分けは微妙で、一つの記事の中で、見出しは「氏」、本文は「肩書」という例も少なくない。さらには、先に挙げたスポーツ選手の場合、引退したり一般ニュースで扱ったりすると「さん」付けに変化する(たとえば、イチローさん)が、池江璃花子の場合は、現役であることもあって、「選手(肩書)」「さん(敬称)」「呼び捨て」と、新聞の中でさえバラバラだ。
このほかに、「特定呼称」とも呼ぶべき、法律や慣習・ルールで決まっているものがある。逆に言えば、特定のニュース領域でのみ使用される、特別扱いの名前表示ということになる。皇室関係(「陛下、殿下など」)や事件関係(「容疑者、被告など」)がこれにあたる。なお、これらはすべて「実名」表記している場合の例だが、紙面上では「仮名」や「匿名」も少なくない。
犯人視しない
この事件加害者の呼び方は、もっぱら刑事手続きに従って呼称を頻繁に変えているのが新聞界の習わしである。おおよそのルールは、逮捕前は匿名か肩書・敬称付きで、逮捕段階から「容疑者」呼称に切り替わる。この容疑者という用語は、メディア界の造語で、法律的には「被疑者」であって、しかも1989年頃まで、報道界は逮捕後の被疑者を「呼び捨て」としていたものの、犯人視イメージを低減させる目的で、呼称をつけるようになった経緯がある。
このあたりを更に詳しくみると、以下の通りだ。
※任意の取り調べ段階(参考人)=原則匿名。ただし、公人(重大事件)は実名で肩書・敬称。再三挙げている暴走自動車事故の「元院長」はこのケースと言えるだろう。
※別件逮捕=匿名。日本の警察は別件逮捕で、身柄拘束の期間を延ばす捜査手法が一般的とされている(刑事ドラマでもよく利用されている)。本来は違法な捜査であり、このようなものは「任意の取り調べ段階」同様と報道界では理解し、同じ扱いをするということになっている。
※逮捕状の発布=容疑者
※書類送検・略式起訴・起訴猶予処分・不起訴処分・処分保留=肩書・敬称(氏)。ここで問題となるのは有名人の扱いだ。逮捕時の扱いも含め、過去の実例でいうと「タレント、リーダー、メンバー」などの肩書・敬称を使用し、容疑者呼称などを回避したことに、社会的に違和感が示されたことがある。現在進行中の事例では、ゴーン元会長の扱いも、この変化形といえるだろう。多くの紙面では、容疑者呼称も使用しつつ、肩書も併用しているのが実態だ。
※起訴・在宅起訴=被告
※再逮捕・追起訴=容疑者
※有罪確定=受刑者・死刑囚
※刑期満了後の仮釈放=敬称
※再審決定後=元被告
※無罪確定敬称(さん)
見直しの契機
ただし、これらにはさらに例外がある。軽微な事件・事故、表現の自由にかかわる事件、公安事件など摘発に政治的色彩がある事件については、肩書・敬称をつける場合があるからだ。最近の例だと、山城博治議長がこれに該当する。ただしこの判断は、社独自の判断の余地があり、ほかの新聞では例外扱いをしない場合も少なくない。
こうしてみてくると分かる通り、とりわけ事件報道の場合、建前としては逮捕段階の被疑者あるいは有罪確定前の被告を、犯人視しないための人権配慮として面倒な呼称の工夫をしていることがわかる。しかしそれが読者に伝わっているかと言えば十分ではなかろう。少なくとも「容疑者」呼称は30年を経て、いまでは真犯人をイメージさせる。そうであるならば、昨今の死傷事故を巡る呼称に関する議論は、事件報道を含め全体の呼称の在り方を見直すよい契機ではなかろうか。
試しに、すべて肩書呼称の紙面を作ってみませんか。その際、高齢化社会が進むなかで、無職や主婦が最適の呼称かも大きな課題だ。
(山田健太、専修大学教授・言論法)
ちなみに、「氏」は男性、女性どちらにでも使用でき、名字の後に「氏」、氏名の後に「氏」はどちらでも良いようです。
「氏」はニュースや新聞など固い場面で使われることが多いようです。
NHK放送文化研究所の「さんの付け方」に下記記載がありました。
「さん」は、名前のあとに付いて、敬意や親しみの気持ちを表します。明確な基準はありませんが、生前のことをリアルタイムで知っている、つまり、その人が活躍する姿が人々の記憶に残っている場合は、「さん」を使うことも多いようです。一方で、その人の業績に注目し、客観的に伝える場面では、存命中の人でも、あえて「さん」を付けない場合もあります。
<解説>「さん」は、名前のあとについて、敬意や親しみの気持ちを表す敬称です。しかし、自分の実生活とは直接関わりのない、客観的な存在、例えば、歴史上の人物などには、「さん」を付けず、呼び捨てにするのが一般的です。「さん」を付けるのは、その人の生前の姿が、多くの人の記憶に残っている場合や、その人に特別な親しみを感じている場合になります。「さん」を使わなくても、○○総理大臣や、○○医師など、名前の後ろに付ける肩書きがある場合は、その肩書きで紹介することができます。しかし、作家や俳優など、名前の後ろに付けづらい肩書きもあり、その場合、名前の後に「さん」を付けるべきか迷うようです。一方、ドキュメンタリー番組などで名声が高い人を客観的に紹介する場合、存命中であっても、あえて呼び捨てにすることで、ほかの人とは違う特別な感じを出すこともあります。著名な故人を紹介する場合、「さん」を付けることで親しみを強調することもできますし、「さん」を使わずにあえて呼び捨てにして、特別な感じを出すこともできます。放送で、その人物の何を伝えたいのか、よく考えた上で選ぶといいでしょう。メディア研究部・放送用語 中島沙織
実際にセキュリティハウスが紹介されている新聞はどうなっているかな?
2023年2月12日 四国新聞にSH香川様が広域強盗対策のインタビューとして掲載されていました。
実際に、どういう表現でしょうか?
防犯対策としてエーワンセキュリティサービス(高松市)の有吉徳洋社長は「狙わせないためには、防犯カメラやセンサーライトの設置」「防犯ステッカーの掲示が有効」と強調。ドアなどの衝撃を感知すると警報音が鳴るアラームや、ガラスの強度を高めるフィルムなどを活用し、簡単に侵入させないようにする工夫も効果的とする。
「氏名プラス役職名(社長)」の表記でしたね。
それ以外にもセキュリティハウス各社の社長が新聞で紹介されている記事を調べてみましたが、多くが会社名、氏名+社長 という表示になっていました。
よく記事の中で「自称 モデル」「自称 会社員」といった表記があることがあります。
「自称〇〇」と記載されているのを見ると、あまりいい印象にはなりませんよね。
少なくとも、インタビューなどでは使用されず、何か事件が発生した時に見かける表現です。
これはどういう場合なのでしょうか?
新聞記事でよく見かける「自称○○」の仕組み
Excite Bit コネタ2005年07月13日に下記記載がありました。(一部抜粋)
記事にするにあたり容疑者の住所・氏名・年齢・職業は基本データとして必要な情報だという。職業の自称○○はその職業による収入は関係なく、本人の言っていることを警察や記者が事実確認を取れなかった場合に表記されるらしい。実際には容疑者は警察に拘束されているので警察発表の段階で「自称○○」ならば、警察はウラが取れていないということ。記者取材でも確認が取れなければ「自称○○」という記事になる。
詐欺師が捕まった場合の職業名は非常にリアルだ。なぜかと言えば、実際に詐欺を生業としていたわけで、人を欺くために使っていた肩書にそのまま「自称」が付くからだ。「自称絵画収集家」や「自称国際電話カード販売員」「自称健康食品販売業」「自称霊媒師」などと詐欺の内容が推測できる肩書が並ぶ。
定年退職した後は。「無職」「主婦」「元会社員」??
どういう表示になるのか、ちょっと気になりますね。
いずれにしても、いいこと以外で新聞に氏名が出ないようにしないと・・ね。
なぜなら、ネット社会の中で、氏名が一度掲載されるとデジタルタトゥーとして、記憶されてしまうからです。
「デジタルタトゥーとは、Digital(デジタル)とTatoo(刺青、タトゥー)の2つの単語を組み合わせた造語で、デジタル情報(文字や画像、動画など)がSNSやブログ、検索エンジンを含むインターネット全般に公開され、“将来の自分にとって不利益な情報が残り続けてしまうこと”を指すようです。
本人やサイト管理人が削除しない限り永続的に残るが、拡散やスクリーンショットによって、掲載した本人でさえ消せなくなる可能性もあります。
最近の迷惑動画掲載や未成年者の事件などの場合には、犯人探しなどがネット上で発生しています。
軽はずみな発言や批判、悪ふざけで投稿した動画、プライバシーに関する掲載などが瞬く間に炎上・拡散し、誰かの人生や自分の人生を台無しにしてしまう恐れもあるので絶対に避ける必要があります。
十二分に考えて発言すべきですが、SNSなどは匿名で記載されるため、そのあたりのバーが低いのが気になります。
様々なSNSへの書き込みで自殺なども発生しており、記載した人間への処分もでてきていますから、今後はもう少しこうしたことへの配慮も進んでくるのではないかと期待しています。
新聞記事の中で、実名報道の場合と匿名報道の場合があります。
実名報道されると、本人はもとより家族・親族などにも大きな影響が出てきます。
実名報道されない場合は
① 少年事件である場合。少年法61条には、罪を犯した少年の個人情報を報道してはいけない、という旨の記載がある。
20歳未満の者を指す。18・19歳の者は「特定少年」とされ、少年法の適用対象。
但し、下記の場合には実名報道される場合がある。
・少年が起こした事件が重大で、その少年が逃走中であり今後さらに凶悪な事件が発生する可能性があるケース
・少年が起こした事件が重大で、その少年が逃走中であり指名手配などで捜査に協力する必要があるケース
② 任意捜査や書類送検の段階
③ 微罪の場合
④ 被疑者が精神障害者で心神喪失状態であった場合。麻薬を使っていた場合や犯罪が凶悪だった場合は例外。
いずれにしても、実名報道されると、本人はもちろんのこと、家族や親族にも大きな影響が出てしまいますので、十分に配慮が必要です。
特に、実名報道されていないにも関わらず、犯人探しや家の特定などがSNSで拡散されているのは、絶対にやめて欲しいと思います。
また、冤罪などの場合、その影響は過去とは比べられないほど大きなものになります。
そうしたことも十分に配慮した捜査や報道が必要ではないかと考えます。