老人福祉施設では、一般的な事務所への防犯対策の他、
防犯ではないですが、高齢者が入所しているために
経営者は管理上の不手際で、刑事・民事責任を問われることがあります。
事故、事件を防ぐためには犯罪から身を守ること以外に
高齢者を危険から守る義務があります。
高齢が進んだり、認知症を患ってくると高齢者は子供と同じで
予想だにしない行動を取ることがあるので
眼を離せないことが多くなります。
食事の時間中は子供の場合であれば、一般的には、
おとなしく席で食事をするので気を抜いても良い時間帯に入りますが、
高齢者の場合は、誤嚥などの問題が起きるので決して気を抜けません。
24時間365日、常に人の眼だけで高齢者の世話を行うことは理想ですが、事実上不可能です。
先日も、某有名企業が経営する高齢者施設で
入浴中の管理を怠ったことから死亡事故が起こっています。
かなり長い時間高齢者を放置したと報じられているので人災の可能性が高く、
通常の世話を行っていれば起きない事故であったかも知れませんが、
人はミスをするという前提に立たないとこのような事故は防ぐことができません。
2016年7月相模原の障害者施設へ元職員が侵入し、入居している障害者19人を殺害、26人を刺傷するという戦後最悪の事件が発生しました。
犯人は元職員で、この2月に自主退職していました。障害者及び施設への遺恨からの犯行ではないかと言われています。
施設建物内への侵入は、深夜職員の手薄な時間帯を狙い、警備システムの警備対象外である入居スペースの窓ガラスをハンマーで割って侵入。就寝中の入居者を次々に襲って殺害しました。
老人施設におけるシステムとしては、一般的な外部からの犯罪者の侵入を防ぐ
「事務所に対する防犯システム」及び高齢者を見守るために
眼が届き難いような危険個所(浴室、トイレなど)での
「監視カメラシステム、緊急呼び出しシステム」、「徘徊を感知するシステム」、
及び火事などの緊急発生時に迅速な行動が難しい高齢者のために
「火災対策システム」、「緊急避難を補助するシステム」などを考慮する必要があります。
また、残念なことですが、施設内に勤務する職員の高齢者への虐待、
暴力行為もニュースで度々報じられます。
弱者である高齢者を施設職員が職務を放棄して全く逆のことを行うのは
社会に対する信頼を大きく損なうものであり、
未然にしっかり防止するシステムを施設経営者は構築する義務があります。
身内を監視するシステムは、本来は無い方が良いのですが、
社会的影響が大きいだけに行う必要があります。
ハード的な管理の他に職員のメンタル面をサポートするプログラムも用意して
ソフト的にフォローしていくことも今後は強く求められます。
高齢化社会が益々進展していく中、社会的な厳しい眼が向けられ、
このような行為を見逃すことは経営に直結する危機になる可能性が高まります。
老人福祉施設においては、様々なハードを利用して高齢者を見守るシステムが考えられます。
専門家の意見や新しいハードの情報を入手するためにも定期的に相談することも必要です。