「ストーカー」とは特定の人に対して
執拗に付きまとう行為を行う人のことを言い、
この行為 自体を「ストーキング」とも言います。
女性にとって「ストーカー」は、もっとも身近で怖い犯罪の一つです。
ストーカーに遭わないための防犯対策についてご説明します。
法律では、同一の者に対し「つきまとい等」を繰り返して行うことを
「ストーカー行為」と規定して罰則を設けています。
但し「つきまとい等」の下記ア~工までの行為については、
「身体の安全、住居等の平穏もしくは名誉が害される、
または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合」に限ります。
ア、つきまとい・待ち伏せ・押しかけ
住居等の付近において待ち伏せたり見張りをしたり、住居等に押し掛けること。
イ、監視していると告げる行為
行動を監視していると思わせるような言葉を口頭や電話で伝えること、
メモなどに残し相手が知り得る状態に置くこと。
ウ、面会・交際の要求
拒否しているにも関わらず面会や交際、復縁または贈り物の受け取り、
その他 義務のないことを行うよう要求すること。
エ、乱暴な言動
著しく粗野または乱暴な言動をすること。
オ、無言電話・連続した電話・ファクシミリ
無言電話をかけたり、
または拒まれたにも関わらず連続して電話をかけたりFAXの送信をすること。
カ、汚物などの送付
汚物、動物の死体その他の著しく不快または嫌悪感を与えるものを送付したり、
相手の知り得る状態に置くこと。
キ、名誉を傷つける
中傷したり名誉を傷つけるような内容を告げたり文書等で相手が知り得る状態に置くこと。
ク、性的しゅう恥心の侵害
その性的しゅう恥心を害する言葉を告げたりわいせつな写真等を送りつけるなど
相手が知り得る状態に置くこと。
●特定の異性に対して一方的に好意を持ち、
相手に面会や交際の要求をするなどを繰り返し行う行為(52.2%)
●つきまといや待ち伏せ(51.3%)
●無言電話・連続電話(30.0%)
●乱暴な言動をすること(20.7%)
●監視していると告げる行為(7.4%)
●名誉を害する行為(5.3%)
好意がストーカーの動機になる半面、
相手が自分の思い通りにいかないことからの怨恨も動機になっています。
男女間の問題だけでなく、
近所との人間関係、職場での人間関係が引き金になっているケースもあります。
●好意の感情から(62.9%)
●行為が満たされず怨恨になったもの(25.6%)
●精神障害※被害妄想含む(0.5%)
●職場・取引上トラブル(0.5%)
恋愛関係や結婚相手など近しい関係にあったものが7割近くを占めています。
つまり、最も身近だった普通の人が、
ある日突然ストーカーに豹変する可能性が高いということです。
具体的にストーカーになりやすい性格の傾向はない、という警視庁の発表もあります。
加害者は30代が25.7%、20代が18.4%、40代が18.1%、50代が10.7%と
30代が最も多いという結果が出ています。
この「ストーカー」という言葉が世に出てきたのは1990年代からで
以前はストーカーを裁くための法整備がされておらず、
迷惑防止条例や軽犯罪法などで裁かれることが一般的で した。
しかし、ストーカー行為の増加に伴って規制を求める要望が増えたこともあり
2000年にストーカー規制法が制定され、
以前では対応することのできなかったストーカー行為を取り締まることができるようになりました。
この法律で規制されるのは「つきまとい等」「ストーカー行為」で、
ストーカー行為は被害者が告訴した場合のみに対応されます。
逆にいえば、告訴しなければ捕まえることができない、ということです。
何か被害に遭ったら必ず警察に相談することが大切です。
自作自演と思われないためにも、
いつ、どこで、どんなことがあったかをきちんとまとめて証拠を出すようにしましょう。
その内容に応じて警察から加害者に対して警告が出されます。
相手が警告に従わない場合は公安委員会から禁止命令が出されます。
禁止命令に違反してストーカー行為をした場合、
一年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
ストーカー規制法が制定された経緯には、
いくつかのストーカー行為から凶悪事件へと発展した事件があったことが挙げられます。
●個人情報が漏れないように気をつける
ストーカーは、個人情報を入手してつきまといなどを行います。
捨てた雑誌やカタログ、通信販売の明細、買い物のレシート、
公共料金や電話料金、インターネットプロバイダからの明細からは
住所や電話番号、趣味・嗜好、
さらには行動パターンまで推測したり知ることができます。
個人情報が記載された書類は
必ずシュレッダーにかけてから捨てるようにしましょう。
郵便受けは鍵のかかるものに変更することも大切です。
ゴミ袋は個人情報の宝庫です。
必ずゴミの日の朝、収集時間の直前に出しましょう。
●ネット上での安易な情報公開は慎みましょう
「ネットストーカー」として相手に面識が全くなくてもネット上で凶行に及んでくる場合があります。
Facebook、TwitterなどSNSや作成しているホームページ、
ネット販売などから個人情報が漏れる場合もあるので注意が必要です。
●一人で住んでいると思わせないようにしましょう
ストーカー被害に遭うのは、ほとんどが一人暮らしの女性です。
ですので、実際にはいなくても同居人がいるようにカモフラージュしましょう。
カーテンは女性らしいものを避け電気などの灯りで透けない厚手のものに変更、
外から部屋の中を覗かれないように閉め夕方になったら照明がつくようにタイマーをセットしたり、
男性用の下着を干すことも効果的です。
●表札は苗字だけにする
●洗濯物にも注意し、特に女性の下着は外の目につくところに干さない
●近親者に頼んで時折見回りに来てもらう
●交際中でも安易に鍵を渡さない
●相手に恋愛感情がないことをはっきりと伝えましょう
特に相手がかつて自分と恋愛関係にあった場合、
曖昧な態度は誤解を増長させるだけです。
●ストーカーと接触しないようにする
ストーカーに遭わないように交通手段を変える、
出発や帰宅の時間、ルートを毎回変える、
タクシーや友人の車を利用するなどを行ってみましょう。
●ストーカー行為をされたという証拠を残しておく
日付、状況や内容を細かくメモしておくことが大切です。
警察へ届け出るときの証拠になります。
●身の危険を感じたらすぐに110番
その時には出来る限り証拠を含めて詳細に通報しましょう。
特に大声を出したり暴れた場合には危険ですのですぐに連絡してください。
●自宅の防犯強化
戸締まりの徹底はもちろんのこと、玄関・窓は補助錠を取り付け
ワンドア・ツーロックの状態にし、
どんな短時間でも必ず施錠します。
また、インターホンやドアスコープで確認してからの対応と
ドアチェーン使用を徹底してください。
●些細なことでストーカーと決め付けない
変質者だと決めつけて人間としてのプライドを著しく傷つけることは
相手の行動をエスカレートさせる可能性があり、大変 危険です。
●第三者を交え、話し合いの場を設ける
迷うことなく友達なり上司なり第三者の力を借りましょう。
●一人で外出することは出来る限り避けましょう
協力してくれる友人や親族と一緒に行動するように心がけることが効果的です。
●盗聴器などがついていないか専門家に確認してもらう
最近は高性能なものが出回っていて室内に設置しなくても難なく内部を盗聴できたりします。
前の住人が取り付けていたり、
元恋人が外出中にこっそり中に入って盗聴器を設置している場合もあります。
専門家に確認してもらうと不安を解消することができます。
特に自宅の固定電話にコードレス電話を使用している場合、
簡単に会話を傍受できる場合が多いので注意が必要です。
●嫌がらせや無言電話には、あらかじめ留守番機能やFAX付きの電話を導入
警察へ提出する証拠にもなります。
電話会社によっては迷惑電話をブロックするサービスを提供しているところもあるので、
そうしたサービスをあらかじめ確認しておくことも大切です。
●元恋人などが合鍵を使って不在時に侵入する可能性もあるので錠前を交換
特に、合鍵を渡していた場合にはすぐに交換すること。
●自宅周辺を見直し、死角になる場所がないか確認
植木の剪定で見通しを良くし、夜間暗い場所には人感ライトを設置します。
緊急押しボタンシステムを設置して、いつでも助けを呼べるようにします。
●防犯ブザーを携帯し、人通りの少ない場所などですぐに鳴らせるようにしましょう
いざというときに使えなくては意味がないので電池切れに注意してください。
●帰宅途中や近所に、もしものときに逃げ込める場所を作る
また、自宅に戻る時に誰かにあとをつけられていないか確認してからドアを開けましょう。
●周囲の人や知人にすぐに相談する
●携帯電話ですぐに助けが呼べるようにします
●一人で悩まず、誰かに相談して客観的な判断をしてもらいましょう
●帰宅途中や自宅にいるときに、いつでも110番通報できるようにしましょう
●ドアスコープやカメラ付きインターホンなどで
相手の身分と要件を必ず確認する
●犯罪者は「水漏れしている」「ガス・電気・水道の検査」「宅配便」など、
いろいろな口実を作って扉を開けさせようとします。
いつから水漏れがしたのか、誰からの荷物か、
何の検査か、誰の依頼かなど詳細を確認し、
心配な場合は荷物を玄関の前に置いてもらったり、
検査担当会社に確認の電話を入れるなどをしてからドアを開ける。
●チェーンは簡単には外さない。
●少しでも不審に思うことがあればドアを開けず管理人や警察へ通報する。
●夜間などの時間帯は特に注意する。
●非常用押しボタンや携帯用ブザーなどをすぐに押せるようにしておく。
●犯人は物陰や背後に潜んでいてドアを開けた瞬間に押し入ってくることがあるため、
外出から戻ってきた時にも周囲を確認してからドアを開けるようにする。