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ユーザーが満足できるホームセキュリティシステムの提供1991.4安全と管理
「安全と管理」1991.4月号 特集「ホームセキュリティ」
セキュリティシステム専門店 チェーン本部 ㈱セキュリティハウス・センター 代表取締役 岡崎友亮
日本で最初のセキュリティシステム専門店として、全国にチェーン展開を行ない、一般家庭はもちろんのことあらゆるセキュリティシステムの設計、施工、アフターサービスまで実施している企業として、設計、施工の面よりホームセキュリティについて述べてみたい。
「ホームセキュリティ」を導入するにあたって、ユーザーにとって一番大切なことは、いかに確実に、安全性、快適性を手に入れるかということである。
ユーザーの立場にたって言うと、高額を払って購入したのに面倒なだけで結局上手に使用できず、侵入や火災など異常発生時に対応ができず被害にあってしまったのでは意味がない。また、誤報が多いためシステムを入れずにいるなどということであれば、今後のセキュリティシステムの普及の妨げにさえなりかねない。
そのようなことのない、ユーザーが満足できるシステムを提供するためには、高品質で使い勝手の良い製品を開発することはもちろんであるが、システム設計や施工レベルにおいては、下記のとおり心がけるべきである。
1. 生活する人の立場にたったシステム設計
ホームセキュリティを販売する上で、最も重要な部分が、システム設計である。
ホームセキュリティは、家電商品のように単品で機能するものではなく、ソフトを含めた「システム」である。そのソフトにあたるシステム設計が、そのシステムの使い勝手、快適性につながっている。
システム設計においては、ユーザーの生活を重視し、システム設計をする必要がある。つまり、ユーザーがどのようなサービス、機能を期待しているのか、守りたいものはなになのかを十分に把握し、目的を明確にしたうえで、システム設計を行わなければならない。
具体的にはユーザーの家族構成(子供や老人はいるのかなど)、生活パターン(昼間有人なのか、留守がちなのかなど)、住宅環境(周囲の防犯事情や、住宅地・繁華街など)、建物の構造(狙われやすい箇所、危険の多い場所はどこか)などを調査した上で、ユーザーの予算や希望に応じたシステム設計をする。もちろん、セキュリティのプロとして、泥棒の侵入口を防ぎ、侵入しにくい環境を作ることがポイントとなる。
家族構成や生活パターンを考慮するのは、お年寄りや子供などがいる場合には、特に緊急通報システムなど、考えられる危険や不安に対応できるシステムを加えたり、生活リズムに合わせて部分解除などを行えるようにするなど、生活が制限されるのではないシステムを設計するためである。これを十分に行わないと、設置後ユーザーにとって「住みにくい家」となってしまう。
また、ホームセキュリティは原則的には「何も異常がなく、センサーやコントローラが作動しない状態が正常な状態である」というものであるが、ユーザーは日常何も付加価値がないと「何もないことは安心なことだ」ということを忘れがちである。事前に十分に説明し理解させるとともに、来客報知や照明制御など、セキュリティシステムを利用して昼間などに便利機能を付加し、日常にそのメリットを感じさせることも大切である。
2. 侵入者の侵入しにくい環境を作るためのシステム設計
ユーザーにとって一番大切なのは家族の命であることはいうまでもない。
大切な命を守るという目的を図るために、何かあってからは遅いのであり、被害に遭う可能性をなくす、少なくすることが必要である。特に侵入に関しては、家に侵入されてからでは、侵入者による「居直り」により人命が危険にさらされることとなるため、侵入者が侵入しにくい環境をシステムにより作り出すことこそ必要である。
そのためには、泥棒の手口や心理を日常より研究し、侵入者の狙う場所に効果的にシステムを設置するとともに、侵入するのをやめようという気持ちにさせるシステムを設計する必要がある。
犯罪など専門知識なしに設計されたホームセキュリティシステムは、効果が薄いといわざるをえない。
3. 高品質で適確な機器の選定
ホームセキュリティを構成する機器は高品質のものを選ぶことはいうまでもないが、警戒ポイントの性質や、気候、美観を考慮の上、設置する場所に最適な機器を選択する必要がある。センサ性能や動作原理を充分に考慮し、設置の位置にも留意する必要がある。
4. 誤報の可能性を設計にて回避
ホームセキュリティにおいては、誤報や失報はあってはならないものである。
センサの設置場所に留意するだけでなく、設計においても各機器も余裕のある使い方をし、誤動作に対し強くしたり、キャンセルするシステムを設計する。
5. 高度な専門知識、技術に基づく施工
ホームセキュリティは、その施工の良否がシステムの機能に直接影響をもたらす。
従ってその施工は、高度な専門知識、技術により十分に留意されて行われなければならない。
各種センサは、設置する場所周辺の物の配置、障害物などを考慮し、誤報や失報、故障発生の原因を作らないように留意して施工する。
建物の立地条件は物件によって異なるため、施工にあたっては条件に適した方法をとる必要がある。
特に、高温、高湿、積雪など自然環境については注意が必要である。
また、機器の取付、配線は、侵入者や子供などに容易にいたずら、破壊されないように注意するとともに、大切なマイホームに設置するため、ユーザーは特に美観には神経質であるため、美観に注意を払う必要がある。
外周警備は、特に庭などの景観を考慮し、場合によってはハウジングなども目立たないものを使用したり、配線処理方法を考える。
また、室内においても、配線はなるべく目立たない方法を取り、センサを埋め込みにするなど考慮する。
施工や取付調整技術により、誤報や失報など多くのトラブルは未然に防げるといっても過言ではない。
セキュリティシステムの施工工事が一般の電気工事と異なり、専門知識、技術が必要なのはそのためである。
6. ユーザーの立場に立った保守点検、アフターサービス
ホームセキュリティは「安全を守る」というその性格上、不備があることは許されない。しかし、機械であるため当然なんらかの原因により誤動作が生じる可能性がある。
また、ユーザーは商品知識がないため、庭の植木がセンサをさえぎって誤報の原因になったり、部屋の模様替えで家具がセンサをさえぎったりしていることがよくある。
引き渡し時にユーザーに対し、使用方法、正しい運用、日常の点検方法を丁寧に説明するのはもちろんのこと、ユーザーへのアフターサービスに努めるとともに、セキュリティシステムを定期的に点検する保守点検契約を結び、常にシステムが正常に作動している状態に務めることが必要である。
ホームセキュリティは他の家電商品と異なり、売りっぱなし商品ではない。この保守点検、アフターサービスの充実いかんが、今後のホームセキュリティ普及の1つの鍵である。
7. 機密保持が可能な信頼できる組織(企業)
セキュリティシステムを設計するということは、家の間取りや重要な物の保管場所などユーザーの非常に個人的なプライバシーを知ることとなる。
従って、セキュリティシステムの設計を行うものは、ユーザーの信頼を得るのはもちろんのこと、その機密を保持しなければならない。
8. 保険による補償
せっかくセキュリティシステムを設置していたのに、万が一、火災やガス漏れ、盗難、落雷などによる家財、生活用現金に被害があったり、また侵入者がセキュリティシステムにより目的を果たさず、腹いせにセキュリティシステムや家具をこわしたりした場合などのために、その損害を補償する保険をセキュリティシステムに付帯することで、より一層ユーザーに安心してそのシステムを利用してもらおうという、一歩進んだ制度も設けられている。
㈱セキュリティハウス・センターでは、上記のような場合にその損害を補償するため、日本で唯一の「セキュリティハウス保険」を保険会社との提携により、セキュリティシステムに付帯している。
以上ホームセキュリティの専門施工企業として、長年の防犯、防災研究のなかから感じている留意点を述べてみた。
過去の経験より、ホームセキュリティの性格上、その販売流通機構として、セキュリティの専門知識をもった、地域に密着しきめ細かなサービスの提供が可能な専門店の必要性を感じ、チェーン展開を促進しているが、今後もホームセキュリティを扱う専門企業として、あくまでユーザーの立場にたったセキュリティシステムの設計、施工、アフターサービスを実施し、ホームセキュリティの普及のために、「安全な暮らしのパートナー」として展開していきたい。